超かぐや姫!観てきました。
ネトフリ配信映画だったんですが、1週間限定で劇場でも公開されることになり、人気が凄まじすぎて2週目延長が決まったホットな作品ですね。
映画の感想はBlueskyに垂れ流すことが多いんですが、考えてるあれこれを書き出してみたら非常に文章が長くなってしまったので、ブログ記事にしました。制限がなくなってさらに長さが悪化しました。
勢い任せで書いていて構成練ってないので読みづらさはご容赦ください。書き散らしたものを適当に区切って見出しつけてるだけで、あまり連続性はありません。
全体の印象
素直にすごく良かったなぁ〜と思うところがずっと続く幸せな映像体験でした。
あまりにストレートな内容で何を語るべきか迷うので、全体の印象だけは先にはっきり示しました。
一言目には「とにかく良かったよ」と興奮気味に語る人が後を絶たない作品パワーを感じられるし、実際に劇場に足を運んで、熱を、空気を共有できてよかったなと思います。
ネトフリ配信前のPV時点でも限定配信とは思えないほど非常に高い注目度だったのですが、期待を遥かに超える跳ね方をして劇場公開に至り、さらに人気は過熱。平日だろうと満席になる異様な人気ぶりで、去年の鬼滅やチェンソーマンみたいな風格すら漂います。前日にチケ取ろうとするのでは遅いレベル。それぐらい単純にものすごーく良くできてるのが高く評価されて話題になってるのも納得ですね。
大まかな感想としてはそんな感じで、まだぼんやりしたことしか言ってませんが、わかりやすく良い作品なら、すげぇ良かったよ!の一言で正直十分だと思ってます。観て感じろ。
この後に書くことは、どちらかというと作品に触れたことをきっかけとする思考整理に近いものです。視聴時には難しいことは考えずに「面白いなぁ!」のノリですよ、私だって。
媒体と上映時間について
はじめから劇場でやれ、と言いたくもなります。
ただ、やりたいこと詰め込みすぎて2時間超の長尺。膀胱との戦いは覚悟して通路側の席を取ってたぐらいなんですが、それでもまあ〜長いですね。上映中にトイレダッシュする人ちらほら見かけました。作り込みが凄まじいから、ここで席立ってもいいですよなんてわかりやすい隙間はない。そこはもう覚悟して挑むか2周するぐらいの気持ちで。
劇場前提なら前後編に分けるかバッサリ削る気がするので、あくまでいつでも一時停止できる配信媒体を前提にしたコンテンツだなぁ、と思うところではあります。ネトフリ資金でやりたい放題できたのが良い方向に作用した密度なのでしょうね。あまりこのパターンのヒット作を見かけないですが、オリアニ映画が盛り上がるのは非常に嬉しい限りで、今後の映像作品に良い影響があるといいなと思っていたりします。
売店でパンフ売り切れって書いてあったからパンフはあると思うんですが、増刷してくれないかなぁ。公式ガイドブック「ハッピーエンドのその先へ!」もすぐ売り切れる状況っぽい。
大まかな内容
作品の中身についてもざっくり紹介しましょうか。ややネタバレしますが、映画以外の情報を私は知りません。
ただ、興味ある人は予備知識なしでそのまま劇場に行ってほしいです。こんなとっ散らかった文章読まずに。
キャスト掲載順では、かぐやが先で、いろはが続くW主人公のバディものと思って良さそうです。基本的にはいろは視点で体験して、人外かぐやの視点を後で追いかける形になるので、いろは主人公感が強い。
かぐや姫といえば、光る竹から赤子が出てくる出会いから始まり、大切に育てて立派に成長するけど月の重要人物だとわかり、月の使者に連れられて故郷へ帰る結末を迎える、という大まかなエピソードですね。日本人なら誰でも知っていますし、知っているよね?と劇中で軽く確認してくるほどで、頭のどこかで「そうなるんだろうな」とメタ展開予想でレールを敷く構造になっています。
いろはが赤子のかぐやに出会って、なんかほっとけなくて流れで育てることになり、なんかめっちゃ育つの早くて、等身大の友達としてすっと溶け込んでくる・・・といった感じで、いろはを親ではなく友達として描きます。いろはは親との関係が希薄で、劇中では詳細は描かれないのですが、家族ではなく友達にフォーカスするのは10代から30代ぐらいまで幅広く受け入れられやすそうな気がします。
なんで竹?光る竹はどうなってる?どういう生態?月はどうなってる?等々、真面目に考えることもなくて、ありえないことばかり起きる荒唐無稽さを、視聴者もいろはも「かぐや姫なんだから仕方ない」と強引に納得させて受け入れて物語は進みます。
これが適度にリアリティレベルを下げてファンタジーだと認識させてくれて混乱しないし、コメディチックで楽しめるし、大筋は知っているから今どういう話なのか、ここからどうなるのか迷子になることもないです。知ってる話をどうなぞって、どう外れるのかがポイントで、かぐや姫はあくまでモチーフやメタファーでしかないんですね。
予想された決まり切った運命だけど、それは本当に自分の物語なんだろうか?これが望んだハッピーエンドなのか?と問う物語になっていて、ハッピーエンドが主題だと思います。公式ガイドブックのタイトルにも採用されるぐらいですしね。
世界観
現代をベースにしながら、派手なファンタジー世界を非日常シーンとして描くためにVR世界でゲームやライブを楽しむようになっていて非常に華やか。Vtuberライブを楽しむことが当たり前となった今だから説明なしに受け入れられる世界観になってます。
この文化は目の前に当たり前にあるもので、それ自体の善悪といった説教じみた解釈は一切持ち込まないのは嫌われにくい特徴なんじゃないかなと思います。現代のSNSは毒だ、みたいに言われても食傷気味ですし、それが作品を面白くしてくれるのかというところに行き着くので、「ただそこにあるもの」として受け入れるのは結構大事なことだと思いましたね。私も別にVtuberに特別な思い入れはないですが、嫌悪感もなくて、本当にただそこにあるものなんですよ。
いろはにとってVRのほうが居心地はいいけど、現実と地続きでリアルの友達と一緒にいることが多いし、VRは特別な異世界というより、あくまで現実の拡張としてエンタメが凝縮されている場所、という印象を受けました。遊びに出かける場所ですね。これも過度に誇張せず、現実的なコンテンツとの接し方がそのまま表れてるんじゃないでしょうか。
MOVA風バトルシーンは映像的には目新しかったですね。最近ですと、Webアニメ版「羅小黒戦記」の日本語訳版がテレビ放送されていて、MMOっぽいVR戦闘がやたら凝っていたことを思い出します。超かぐや姫に関しては、ゲームルールがあるだけで、あまりシステムにはフォーカスせずアクションで魅せますね。多少の読み合いがありましたが、システムの事前説明もなかったし、リスポーンなどの概念もわからない人には何してるのかさっぱりわからない絵面にはなってたとは思います。
いろはという超人
いろはには親しい友人がいて学校生活も不自由してないので、何故そこまでストイックに自力で生きることにこだわるのかは劇中描写ではわからないです。母との関係がかなり省かれているのは、気になる人もいるっぽいですが、この作品が表現したいのはハッピーエンドなので、別にいいんじゃないかなと私は思います。既にすごく長尺だし。
いろはは学業トップクラスを維持したまま学費と生活費をバイトだけで捻出できるうえに、かぐやを養えてしまうスーパー高校生。ゲームもアマじゃ相手にならなそうです。普通はもっと抑えた描写にするだろ!かぐやがライバーとして成功すると生活水準も一気に引き上がって、収入が気になってしまいます。
無尽蔵に近い精神力やモチベは一体どこにあるのか気になりますが、やっぱり細かいことは気にせず進みます。むしろハイスペ過ぎるから、結末でサラッとすごいことしても、「こいつはそういうやつだからなぁ!」と黙らせてくれますね。これもエンタメ的に正しいなと思いましたよ。SF要素を成り立たせるのはどこで大きな嘘をつくか選ぶことが肝心なので、実はかぐやじゃなくていろはのほうがチートなんですよね。かぐやの料理チートスキルは本当に羨ましいけど・・・。
サマーウォーズで異常にハイスペなやさぐれおじさんにメロつく人が続出して、ずっと語り継がれるようになったように、物語をひっくり返すキャラにはデタラメな力を与えていいですね。おかしいだろ!とツッコミ入れつつ、それが面白くて話題にしたくなるわけで。
そういうことを考えると、近年ずっとインターネットでボロカスに言われてる細田作品に対して、現代の大衆が求めているものはこれ、というのをお出しされた感じはしました。キャラが好きになるから、そのキャラの話が好きになるということです。
話を戻します。
人は目的があってこそ頑張る力が湧いてくるものです。目的なしに頑張れちゃうのもいろはの超人ポイントです。超人的に頑張れてしまう人の虚しさとして目に映ると、理解・共感が難しいので心に響くものにならないと思います。本作はいろはの目的のなさにフォーカスしたかったので、冷静に考えると超人なんだけど、それを説明せずにガンガン物語を前に進めていくのが心地よく見れるバランスに収まっていたかと思います。いろはのこと、詳しくはわからないけど、全然それでいいのだなと。
この作品がもし、世間に知られていないいろはの才能が認知されていくサクセスストーリーとして構成されていたら、そんなにウケてないと思います。超人は超人として描いておいて、それでも本当に大事にしたかったのはかぐやという存在なんだ、という落とし所だから、かぐやのために頑張る超人は視聴者として応援できるわけですね。自認いろはにはさせてくれない作品です。ここは割と面白い特徴なんじゃないですかね。
作劇
ここはまあまあネタバレ度が高いので注意。
期待(予想)させることはわかりきってるし、そこから外れる結末やギミック、冒頭まで振り返ってどんな背景で展開されていたのか一気にわかるんだけど、ストーリーの構成要素的には新しいことはないです。
似た構成や題材だと、しっかりしたSF考証のうえでAIと友達になる「アイの歌声を聴かせて」を思い浮かべる人もいると思います。両方見てる人には言ってることが多分伝わる。アイ歌が好きな人なら超かぐや姫も好きなんじゃないかなぁという気がします。その逆は・・・SF適性があるかどうか。アイ歌も親しみやすい傑作ですけどね。
ハッピーエンドという言葉を明確に何度も用いているのも、いろは、かぐや、そして私たちでハッピーだと共感できるものはなんだろう?と気にかかるようにするためですよね。竹取物語をいろはは「一般的にハッピーエンド」だと思っていて、かぐやは「そんなのつまらない!」という価値観を示しますが、抗えない状況になったときには「これがハッピーエンドなんだよ」と自分に言い聞かせるようにするしかないんですね。でも、やっぱりそれまでの楽しかった思い出は本物で、いろはも納得できるハッピーエンドに辿り着くために「悩む」選択を取る。こういう地味な選択が私は大好きですが、イカれた忍耐力を持つ超人が「こんなのハッピーじゃないだろ!」とフルスロットルで動き出すのは痛快ですよね。ここは既に説明したものでもあります。
フィクションであっても基本的にはハッピーエンドが好ましいです。そしてそれを直球で描く作品が王道と呼ばれるのだと思います。綺麗事でも貫く勇気を示してほしい、フィクションだからこそ。
そういえば、バッドエンドをハッピーエンドへ捻じ曲げる「全修。」というアニメがありました。子どもの頃に、人生を変えるほどの強い衝撃を受けた大好きな作品との出会いがあって、その「好き」と向き合って、あくまで「好き」は自分の自由な感情であって、作品とは独立して尊重されるべき強い原動力である、というテーマの作品だったのかなと思います。「好き」であることに正直に「安易なハッピーエンド」を選ぶわけですが、テーマとしては興味深くても、実際にアニメ作品の脚本・表現として訴求力のあるものに落とし込むのには苦戦して、事前の期待の割にはコケてしまったのでした。
うまくいかなかった作品を引き合いに出すのは趣味ではないんですが、ハッピーエンドであればいい、というほど単純なものでもないんだよなという例として思い浮かんだのでした。視聴者と「こんなハッピーエンドなら素敵だな」と共有できる価値観をどうやったら組み込んでいけるのかが、ものづくりの腕の見せ所なのかもしれません。普遍的なハッピーを考察して唱える哲学的なつくりにするのではなくて、「このキャラには幸せになってほしい」という愛着を持たせる形にしたほうが広く刺さるよ、という例ですね。それが創作の唯一の正解でもないですけどね。
超かぐや姫!はあんまり考えないで楽しめる作品ですよ、と私は言いますが、しっかり考え抜いて作られた作品だと思うし、受容されやすい要素の選択が私からもいくつか読み取れるなぁ、と思ったのでした。
メインキャスト
私はディープな声優オタクではないですが、好きなコンテンツに関わっているキャストは目に留まります。好きなコンテンツのキャストは応援してます。
かぐや役の夏吉ゆうこさんは近年とても人気のある声優さんですね。ウマ娘ならシュヴァルグラン。最近私が観たアニメだと「笑顔がたえない職場です!」なんかも素晴らしかったですね。夏吉さん自身がアイドル的な人気が絶大というのはあるんですが、少年っぽい低めな声質で圧倒的な歌唱力を持っているのはよく認知されている魅力です。「うたごえはミルフィーユ」というアカペラプロジェクトもやっています。とにかく実力があり、かぐやは夏吉さんのハマり役だったと思います。文字通り赤子だったかぐやが自由奔放に楽しいことを謳歌していくあどけなさに、ステージ上での安定したパフォーマンス。身近な人を推し担当として引き込む説得力。オタクとしては「あー!夏吉さんの魅力が世間にバレちゃうなぁ!!」っていう気持ち悪い感想を持つのも自然の摂理ですね。
いろは役の永瀬アンナさんはサマータイムレンダの潮(うしお)役が最も印象的ですね。潮は死んでるんだけど、生前の明るい人格を保ったまま主人公と共に最悪の未来を回避するために活躍するヒロインでありパートナーで、頼もしいんですがキャラ背景的に儚くて繊細なところもあるんですよね。そういう奥行きのあるキャラをやらせると上手くて、陰キャいろはの振り回されっぷりから、最後に吹っ切れる逞しさまで通して観ると、これも永瀬さんがすごいなぁ、と沁み沁みとするわけです。最近だとミルキーサブウェイのマキナ役もやっていますし、会話にリアルな質感を混ぜるのが上手いと思います。
ヤチヨ役の早見沙織さんはエクストルーパーズのティキ役から好きですが、もはやレジェンド級のため名前だけで圧がありますね。非常に厚みのある背景を含ませられる実力者をあてるキャスティングですよね。ところどころ気になるワードチョイスをするのも納得できる展開が待っていて、作品全体で貫いている人格のニュアンスが絶妙で唸らされました。あんまり書くと核心に触れてしまうんですが。八千代・・・8千年・・・。
まとめ
ハッピーエンドを強く願って掴み取るポジティブなエンタメが好きならおすすめです。一切触れなかったけど映像も圧巻です。ボカロ全然知らない私ですら知ってる曲も出てきますが、そういう周辺知識もなくて大丈夫です。
2週目からは公式MVも合わせて上映されるそうで、こちらも本編鑑賞後にはチェックしてみてほしいです。コマ送りじゃないとネタ多くて拾いきれないですけども。





